2005年06月27日

今更、PERとPBRとROEの話

 PERとかPBRとかROEとかよくわからん、日本語で言え! ・・・株価収益率、株価純資産倍率、投下資本利益率? ・・・もっとわからん。
 という話は、この記事では置いておきます。わからない方は、リンクしていただいてる「バリュー投資で一億円!」(by だいすけさん)のこの記事や関連記事がわかりやすくて参考になるのではないかと思います。(トラックバックさせて頂きました。)

 さて、リンク&トラックバックさせて頂いた上の記事にも記されておりますが、PER、PBR、ROEの間には

PER×ROE=PBR

という関係が成り立つというのは皆さんご存知ですね。この記事では、この関係を踏まえた上での3つの指標を使ったスクリーニングについて書こうと思います。

 と言ってもこのお話は、超有名バリュー投資家であらせられる稲虎さんの「スクリーニングの幾何学」という記事や、同じく石坂俊さん2005年1月14日の日記に、より詳細に書かれてます。
 ただ、そちらを読んでもどうも一般化されててイマイチよく分からない、という方のために、もうちょっと具体的に単純に書いて、かつ最後に大して重要でない知識をちょこっと付け足したのがこの記事ですのでご了承ください。

 っつーコトで本題。

 上の数式が成り立っているということは、2つの指標の数値が決まれば、もう1つは自動的に決まるということを意味します。これを業界用語で「自由度が2である」と言います。どこの業界かは知りませんが、ともあれ自由度とは例えば目の前にあるものに手を伸ばすときに肘が横に曲がるか下に曲がるかみたいな感じの話ですがそんなことはどうでもよろしい。
 要するに3つのうちの2つ、例えばPERとPBRが決まれば、残りの1つであるROEは自動的に決まるのです。そこで、PERとPBRを横軸と縦軸にしてROEのグラフを書くと、下のようになります。

PERとPBRとROEその1

 上の図には三本の斜め線が引かれていて、それぞれROE=5%、10%、15%を表してます。例えばROE=5%の線に沿って見てみると、PER=20のときPBR=1となっています。
 これはPER×ROE=PBRという式から、20×5%(0.05)=1という風に成り立ってます。
 さらに、これらの線よりも「左上」の領域が、ROEが5%、10%、15%以上であることを意味します。下の図で色がつけてある三角形の領域が、ROE10%以上というわけです。

PERとPBRとROEその2

 ここで、角山智さんの著書「超特価バリュー株「福袋銘柄」で儲ける週末投資術」から、PERとPBRとROEの関係について引用させて頂きます。

 ・・・PERが15倍の3つの会社(A社、B社、C社とします)があるとします。A社のROEは5%、B社のROEは10%、C社のROEが15%として、この3社のPBRを計算してみましょう。・・・
 すると、A社のPERは0.75倍、B社のPBRは1.5倍、C社のPBRは2.25倍となりました。この結果、ROEが低い会社の方が、割安(PBRが低い)だということがわかります。

 これをグラフで表すと、下の図になります。赤い点がA社、B社、C社を表しています。PERが同じだとROEが低い方がPBRが低いというのがおわかりかと思います。

PERとPBRとROEその3

 さて、3つの指標を組み合わせたスクリーニングを考えてみましょう。例えばPER5倍以上10倍以下、PBR2倍以下、ROE15%以上というスクリーニングを行った場合はどうなるかというのが下の図です。
 色がつけてある台形の領域に存在する銘柄が、投資対象になります。

PERとPBRとROEその4

 まあ、PER-PBR平面においてこういう台形領域を投資対象とすることの意味は、少なくとも私にはよく分かりません。PERとPBRとROE3つの指標を使ったスクリーニングではこういうことができます、っていうことを示すのが今回の記事の趣旨です。

 さらに蛇足ですが、私の現保有銘柄がどこに位置しているのかを示しておきます。

PERとPBRとROEその5

 青い点が、それぞれ私の保有銘柄を示してます。(2005年6月24日終値におけるYahoo!ファイナンスの指標をそのまま使ってます。)あえてどの点がどの銘柄かは書いてませんが、これを見ると私はPERやPBRよりもROEを重視しているって言うことがよく分かりますね。私もたった今知りましたけど。
 ちなみに、現保有銘柄の数は7つなのですが、青い点は6つしかありません。ある1つの銘柄は、PBRが高すぎて上の図の範囲には入らないのです。どの銘柄かって? 自分で調べてください


 最後に、多少マニアックな話をします。PERとPBRの2変数に閾値を設けてスクリーニングする行為はつまり、「矩形」の領域で投資対象と非対象を判別しているわけでして、これはいわゆる決定木(ニ分木)というアルゴリズムでできる話です。PERとPBRの単純なスクリーニングというのはつまり、自分で決定木の枝を作ってるようなものです。
 で、ROEを入れることで、PERとPBRを使った線形判別分析っぽいことができる、というわけです。(切片が固定なので厳密にイコールではありません。)変数が2つ存在するときにその比を取って変数をもう1つ増やす、っていうのが決定木を作る際に通常取られる手法なのかどうかは、正直よくわかりません。この辺になると、仮説検証的にやるより、探索的にやるほうが普通ですね。
 データさえあれば幾らでもできる話なので、色々とやってる方もいらっしゃるでしょうなあ。
2005年04月07日

日経優良企業ランキングの点数のつけ方をもう少し詳しく説明

 以前、「日経優良企業ランキングの点数のつけ方」という記事を書いたんですが、半年近く経った最近、検索エンジンからその記事へのアクセスがとても多いです。なぜですか? 就職活動先でも選んでるんですか? まあよくわかりませんけど。
 ところで、私が書いた記事は、「日経優良企業ランキングを株式投資の銘柄選択に使えるか?」というお話で、「使えない」という結論でした。ただ、「点数のつけ方」というタイトルなのに点数のつけ方についてほとんど触れていなかったので、今回、改めてそれを説明しておこうと思います。

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 ネタ元は「2004年度の優良企業ランキング 評価方法と特徴」です。このページによると、ランキングの点数は、【財務指標の作成】→【因子分析による情報集約】→【判別関数によるウエートの決定】→【総合・項目別ランキング】という4つの手順を踏んでつけられるみたいです。この手順を一つずつ説明していきます。

【財務指標の作成】

 これは、企業の財務データを整理しました、って話ですね。「データクレンジング」などと呼ばれるやつです。主に大量のデータを解析する前に必要とされる作業です。やってることは全然大したことない。

【因子分析による情報集約】

 「因子分析」などという用語がでてきますが、これも大したことありません。っつーか、因子数の決定に恣意的なものを感じるな、これ。詳細は計算過程を詳しく見てみないと何ともいえませんが。
 ともあれ、1番目の手順で整理した財務データ15種類を使って、「規模」「収益性」「安全性」「成長力」という4種類の点数を、各企業ごとに計算するわけです。「規模」の計算に使うのは、総資産、売上高、従業員数、営業キャッシュフローの4データ。この4つからどうやって規模を計算するのかというと、下の式みたいな感じです。

規模=a×総資産+b×売上高+c×従業員数+d×営業キャッシュフロー

 ここで、a、b、c、dは、因子分析で計算した値です。なんで4データだけで「規模」を計算するのか、aとかbとかcとかdは具体的に幾つなんだ、といった疑問については、計算過程を詳しく見てみないと分かりません。
 で、上の式に従い、各企業ごとに、4種類の点数を計算します。例えば、
  • 武田薬品:規模90点・収益性85点・安全性87点・成長力78点
  • NTTドコモ:規模92点・収益性75点・安全性95点・成長力70点
  • ・・・
みたいな感じで、2004年3月31日時点の全国上場企業のうち2278社分の点数をつけるわけです。(上に書いた点数はテキトウです。)
 この手順はこれで終わりです。

【判別関数によるウエートの決定】

 ここでガラっとやり方が変わり、日経の記者約50人が登場します。この約50人に、「お前ら、自分が優良だって思う企業10社と、優良じゃないって思う企業10社、挙げてみろ。」と命令します。この時点では、上の手順で計算した点数とは何の関係も無しです。
 で、記者は20社分の企業名を挙げます。挙げられた企業の数は、人によって重複しているので約50社になりました。
 次に、この約50社の4種類の点数を調べます。そして、4種類の点数を下のような式に入れて、「優良企業を表す点数」を計算します。

優良企業を表す点数=e×規模+f×収益性+g×安全性+h×成長力

 ここで、e、f、g、hはある値なのですが、これらをどうやって決めるかというと、「優良企業を表す点数」が、記者に優良企業として選ばれた企業は高くなるように、記者に非優良企業として選ばれた企業は低くなるように、決めるのです。
 ここが最も恣意的なところで、結局は日経の記者約50人の判断に沿うように計算式が作られているわけです。私が前の記事で、“このランキングは「優良企業」のランキングではなく、「日本経済新聞社の企業担当記者約50人が、優良だと判定する確率が高い企業」のランキングである”と書いた理由はここにある。(ロバート・キヨサキ風表現)

【総合・項目別ランキング】

 あとは、上の手順で計算した「優良企業を表す点数」の大きい順が、総合ランキングになります。また、「規模」「収益性」「安全性」「成長力」の点数の大きい順が、それぞれの項目別ランキングになる・・・んですよね。多分。それだけですね。武田薬品が1位だそうです。ふーん。

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 というわけで、簡単ではありますが、「日経優良企業ランキングの点数のつけ方」を説明しました。はーすっきりした。なお、何か間違いやお気づきの点等ありましたら、コメントでお知らせ頂けると嬉しいです。


<関連記事>
日経優良企業ランキングの点数のつけ方
2004年10月24日

日経優良企業ランキングの点数のつけ方

 バリュー株投資に憧れを持っているヒロです。こんばんは。

 バリュー株投資って言うのは、ファンダメンタル分析をした結果割安だと思われる株に投資することなんですけど、やっぱりちゃんと利益を出していて成長している優良企業に投資した方が良いわけで、私はそういう企業をいつも探しているのです。

 で、色々な探し方があるんですけど、一般的なのは株主資本利益率とか株価純資産倍率とか株価収益率とかの企業ごとの指標でスクリーニング(選り分け)をして、指標が上位の企業を探すと言うやり方です。と思います。スクリーニングは、口座を持っているオンライン証券会社がそういうサービスを提供していれば、できます。それから、NIKKEI NET マネー&マーケットなどのWEBサイトでも、基本的なことはできます。

 さて、そのNIKKEI NET マネー&マーケットで、2004年度の日経優良企業ランキングというのが発表されていました。これは結構有名なランキングでして、まあananの好きな男・嫌いな男ランキングよりはマイナーですが、例えばここにランクインした企業は、それを利用した企業宣伝を積極的にしたりしてます。
 このランキングを見ると、規模、安全性、収益性、成長力という4つの指標で、企業に点数がつけられています。優良企業を探すにはなかなか良さそうな指標だと思いますし、そもそもランキングの名前が「優良企業」と来てます。これはスクリーニングに使えるんじゃないかな、と思いました。

 ですが、そもそもこれらの指標っつーのは何なのかな、という疑問を持ちました。どうやって点数をつけてるんだ? と。サイト内を見回しても、どうやって点数をつけているのか、書いている場所が見つかりません。ふうむ。
 というわけで、困ったときのGoogle頼み。検索してみたら、書いてある場所を見つけました。ここです。さすがGoogle。
 で、読んでみました。「因子分析」とか「判別モデル」とかの言葉がでてきてますが、私は損益計算書とか貸借対照表とかキャッシュフロー計算書を読むよりもこういうのの方が得意ですので、ほぼ理解できました。本当ですよ。

 結論から言うと、あんまり使えねーかな、って感じ。えーとね、これは要するに、「優良企業」のランキングではなくて、「日本経済新聞社の企業担当記者約50人が、優良だと判定する確率が高い企業」のランキングです。しかも大したモデル使ってないし。一次関数って要は線形判別分析だろ。せめてKernel Machinesぐらい使えば、技術的には面白いのに。SVMとか。

 というわけで、Googleで検索したときに見つかった「考える株式投資」さんにトラックバック。この記事が参考になれば幸いです。はい。というより、「考える株式投資」さんを、私のスクリーニングの参考にさせて頂きます。えへへ。

<関連記事>
日経優良企業ランキングの点数のつけ方をもう少し詳しく説明

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